訃報

指揮者の岩城宏之さんが亡くなられました。
今日の夕方に知って、びっくりして・・。
悲しい。「森のうた」ってエッセイ(というか自伝)が
すごく好きで。
(この本は本当に本当におすすめです。)


結局、金沢のオケでやったチャイコン&ベートーベン
を見たのが、最初で最後だった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060613-00000130-kyodo-ent


年末のぶっ通しベートーベン全曲指揮とか、
むちゃくちゃなことするなあ、と、体調を心配してたんだが・・。
でも、そんな無茶というか、誰もやったことがないことをやるあたり、初演魔といわれたこの人らしかった。

5月の武満さん10周忌記念公演のとき既に体調が大分すぐれなかったようで。
ハイビジョンで特集やってたのか。再放送してくれないだろうか。
・・・・ご冥福をお祈りいたします。
天国で、きっと山本直純さんと再会してるかな。


最後に、私の書評サイトにあげてた「森のうた」の
感想をUPしときます。これはもう、私が思い出すため・・。
また、再読しよう。

↓↓


☆最近の私のマイブームといえば・・・そう、お分かりですね?
クラシックとともに、指揮者もマイブームなのです。誰もついてこない一人祭り・・。
本当に一人で指揮者の本ばっかり読んでます。友人には「最近のあなたの一人祭りで、
世の中に こんなにも指揮者の本があるのか、と改めて認識させられたよ・・」といわれる始末。
いーんだ楽しいから。んでこの本。指揮者・岩城宏之氏の、山本直純さんとの芸大青春記、
だそうです。 私は実はこの2人のことは殆ど知りませんでした!
どちらも有名な方なのにねぇ・・・そう考えると、
やっぱり日本で「誰でも知ってる指揮者」は、
現役では小澤征爾だけなのだなぁ・・と改めて思ってしまう。
以前の私は指揮者には殆ど感心がなかったが、それでも小澤さんは知ってた。
あとはかろうじて朝比奈さん。例えば井上道義岩城宏之外山雄三(敬称略)
といった面子は聞いたことなかったもんな・・。まあ育った土地も影響するんだろうけど。
関西圏や東京にいるとよくポスターとか目にするから、名前だけは知ってるかも知れんし。
 
まあそれはおいといて、岩城さんです。経歴見るとすごい方なんですね。でも文章は軽めで、
ユーモア溢れる楽しいものを書かれます。佐渡さんもそうだけど、指揮者には面白い方が多いのかしら?(笑)
とにかく破天荒な岩城さん・ナオズミさんの2人の青春模様がものすごく面白い!もー抱腹絶倒!ってかんじ。
著名な音楽家はこのくらいぶっ飛んでるものなのかしら? すごく豊かな学生生活を送られたんだなぁって、
ほんわかした気分になります。 読んでて顔がにこにこしてきてしまった。2人の友情があつくって!
ほんまになかよしさんなんやなーと。感動した。どのエピソードにも。特に岩城さんが失恋して号泣してる時に、
ナオズミさんがピノキオの絵本とパジャマと枕とを、走って買ってきて「これ読んで寝ろ」と持たせて、
タクシー呼んでバラの花束渡して見送ったくだりなんて泣けちゃったさ。てかどういう慰め方なんよそれ!(笑)


 もう読んでると殆ど山本直純奇人ショーみたいな感じだが、この人とっても魅力ある方だったんだなぁ・・。
ものすごい才能をもちながら、クラシックの大衆化に力を注いだ人であったらしく。
(寅さんのテーマ曲や、「一年生になったら」もこの人。「オーケストラがやってきた」等の番組も。
一万人の第九」も、この人が15年もやりとおしてきたんだなぁ・・)
岩城さんはそれを残念がっていたようだったけど、それでも応援していたらしい。
ナオズミさんは去年の今ごろ、帰らぬ人となってしまった。残念だ。もう遅すぎるのだが、
一度コンサートに行ってみたかったと切実に思う。後の祭りだ。

 渡辺先生(渡辺暁雄氏)との師弟関係も胸を打つものがあった。なんてええ先生なんやー!
でもこの方も既にお亡くなりになられているのね・・。

2人の学生時代のクライマックス、ショスタコービッチの「森の歌」の演奏シーンで本書は終わるのだが、
その「森の歌」の演奏展開を7P使って書いてある。これだけで1曲聴くことができたかのような臨場感!
これはすごい。 そして終演場面だけであとは何の説明もなく(卒業後の2人の行く末とか現在の説明とか一切なし)
本書を終えているのが印象的だった。いい終わりかただった。演奏とともに読み終えたかんじがして。
 

 この人たちでなければ紹介できなかったであろう多数の興味深いエピソードが綴られていて(カラヤンのとことか)、
どの章をとっても非常に面白かった。もう15年も前に出版された本なのに
(※講談社文庫では2003年1月に発売)、全く色あせていない。すごくいいお話でした。面白かった。
 調べると岩城さんには本当に沢山の著作があり(エッセイスト賞も受賞されている)、
これから読んでいくのが楽しみです。現在OEK(オーケストラアンサンブル金沢。この楽団は、
最近私的注目の金聖響氏が指揮しに行ったので知ったんです)の音楽監督をされているらしく
、また一つ聞きにいく 楽しみが増えました!ここの楽団は相当面白い試みをしているみたいだし。
あとなんといってもホールの音響が素晴らしいとのこと。ああ楽しみ。現在71歳。まだまだ現役ですしね!
いや、それにしても素晴らしい本を読みました。
笑いあり感動あり。
指揮者の本はどうしてこうどれもこれも面白いんだろう!


2003.06.13 (←あ!!ちょうど3年前だ!)


・・・もうこれが3年前のことなんだなあ・・。
今週・来週あたりのN響アワーは絶対見なければ。
きっと、特集組んでくれると思うの。

しかし、73歳・・・。
こうなると、90歳すぎて現役でいらっしゃった
朝比奈さんはすごい(この人のベートーベン7番が好きでね・・)。
あの人の指揮を、とうとう生で一度も見ることができなかったのが、ずっと後悔してることなのです。
河出から出てる朝比奈さんのムック本でも読むか・・。